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西東三鬼賞 過去の大賞・秀逸作品(第1回から第10回)

 

第1回 
 大賞 やさしさうな鱶に囲まれ昼寝覚    浜田 喜夫
 秀逸 木枯一号村の男を攫ひけり      池田 崇
    駆け落ちの神もあるべし神無月    永田 幸而
    手花火やこの子いつかは背くかも   横田 昭子
    寒泳を握りこぶしで見ておりぬ    松本 和子
    のし餅を蒲団とおもふ遠い初夜    酒井 破天
    ひとすじのなめくじ照らす月の飢   大沢 裕美
    揺れ椅子を漕ぎたる父の夏終わる    金   三路
    働きて淋しとおもふ冬の森      中村 比呂士
    壁いくつ抜けて来たりし祭笛      橘   孝子
    一つ家へ行くに芒は刈られけり    中村 愼六

第2回
 大賞 航空母艦稲妻のたび横たわる     本多 脩
 秀逸 紅生姜むかしばなしのみな貧し    伊与田 三千代
    母の忌のにんじんだいこいもかぼちゃ 臼井 千百 
    大焚火どのてのひらもわれに向き   小西 幸一
    初蝶の来し方行方誰も知らず     三村 武子
    悪霊の石を眠らせ山ざくら      中根 唯生
    集団の椅子折りたたむ音寒し     上石 久美子
    兵たりし日の耳となる遠花火     谷垣 昭一
    いづこかに戦争があり聖夜かな    板詰 國子
    木枯らしの音空缶となり転ぶ     高村 蔦青
    少年が飛魚の翅拡げ見る       佐藤 利夫

第3回
 大賞 子を産みに身を隠しけり麦の秋    飯塚 風像
 秀逸 月明に水輪をほどく菖蒲かな     平峯 敏巳
    履歴書のはじめは藷の葉が騒ぐ    河野 輝暉
    なきがらを柱と呼びし桜かな     谷垣 昭一
    枯野ゆく肌のぬくみの腕時計     宮村 明希
    古戦場の風吹きすさぶピアノかな   木村 澄夫
    体育がいちばん好きな子天高し    坪谷 久子
    忽然と枕が広し秋の雨        渋川 京子
    山眠るナウマン象を従へて      阿部 菁女
    冬山のどの木も登山靴穿いて     磯村 鉄夫
    銀河濃し身の甌穴も音たてて     矢部 道男

第4回
 大賞 青空より跳ねて来たりし桜鯛     柿畑 文生
 秀逸 桐一葉そのあと何も落ちて来ず    千島 染太郎
    凩や穴に住みたる昔あり        辻   未知(辻は一点しんにょう)
    美しき珊瑚の上を泳ぐかな      加藤 博
    西東忌両手離しの自転車来る     山本 左門
    柚風呂や百数えしは還らざり     田中 荒砂
    豊年や線路まっすぐ空に入る     兼若 君江
    昭和からはみ出しているくちなわか  朝田 魚生
    波あまた押し寄せてゐて山眠る    恒藤 滋生
    カノープス戦艦大和深く沈み     木村 澄夫
    あをによし奈良の都の羽抜鳥     芹沢 保

第5回
 大賞 万緑やうつらうつらと赤子老い    竹村 悦子
 秀逸 流れゆく蛇のあとから水ながれ    酒井 破天
    島雲に戰の他は國を出ず       谷垣 昭一
    ふるさとは何もなけれど鯨来る    吉原 吉夫
    三十階よりパン買ひに行く文化の日  松崎 豊子
    蛍火や軍隊といふ動くもの      福見 祐一
    ちる花の津々浦々に兵の墓      富澤 松雄
    無花果の熟したる夜の秘密かな    今井 乾二
    永遠に長女の我よ雛かざる      渡辺 暁巳
    日本はどこへも行かず春の海     王子 爽太
    廃倉庫のぞけば冬の海なりけり    天野 慶子

第6回
 大賞 窓よりも大きな太陽夏休み      中江 三青
 秀逸 イブ更けて靴音のみな地下へ墜つ   山崎 観音子
    すこしづつ滅ぶ日本桃の花      水上 孤城          
    ちぢめても伸ばしても足盆の後    石黒 道子
    蓑虫の総量を気にしてゐたり     高橋 正夫
    密漁の海図なりしを曝しけり     広瀬 長雄
    木の葉髪わが父のごと子を許す    黒田 誠一
    ところてん嘗ては牛馬通りけり    吉原 吉夫
    よく晴れてみずうみわたる蝶の耳   谷元 左登
    シベリアの寒気五体をいまも責む   定広 畔
    吊り革を握って十三夜の嬰児     細井 啓司
 
第7回
 大賞 くちなわをいじめ尽くせし女学校   高橋 修宏
 秀逸 新米の溢るる倉庫恐れをり      池田 郷太郎
            群がりて月下に鯉のきしむ音     髙橋 智子
            名画座に「望郷」かかる西東忌     宋   岳人
            冷蔵庫開けて一人と思ひけり     米倉 ひさき
    昭和史の永久に二つの原爆忌     永山 篁
            さふらんの花マルセーユ遥かなり   永野 史代
            音楽がからだを流れおり良夜     細井 啓司
            マンションが砂に還るや葉鶏頭    田代 蒼猫
            水に浮く日本國と蓮の花       竹村 悦子
            木枯やひとりでうたう応援歌     谷元 左登

第8回
 大賞 海津見に沈みし菊や菊日和      岡本 日出男
 秀逸 夜汽車より淋しかりけり洗ひ髪    田中の小径
    鶏頭の種のびっしり疲労感      西屋 富美子
    十七歳教師を刺して夏終る      山川 正典
    前世は大物なりし蟾蜍        角南 昧波
    結界に天の裂けめの石榴かな      岡   典子
    青春の蒲団の湿り遠花火       太田 里子
    春の家一生出られぬかもしれぬ    高橋 修宏
    汗噴くに任せる加齢今日もカレー   水島 洋一
    水害による水不足天の川       三村 武子
    八月の朝礼台に誰もゐず       小野 幸鼓

第9回
 大賞 天の川隣人とくに恐ろしき      阪野 美智子
    雲海の中の乱声八月六日       柴田 美代子
    三鬼忌やきれいに残る魚の骨     山本 左門
    括られし蛇の袋の立ち上がる     山村 美恵子
    去年今年なく点滴の入りけり     亀山 賢治
    あと一人吊せば終る秋の空      貞永 まこと
    置き杖の納まる大江山眠る      松岡 恵美子
    月夜茸ははを殺めにきたと言う    親谷 道子
    芭蕉忌の押させてもらふ車椅子    津髙 里永子
    寝返りて消息を絶つ天の河      高橋 修宏
    帰還するまで開けておく蝉の穴    池田 守一
 
第10回
 大賞 銀河系の一点に坐し藷を食ふ     横田 昭子   
 秀逸 銀河大衝突向日葵かすかにゆれ    日原 正彦
    漱石を親爺のやうに鳥わたる     不破 浩
    小六月しずしずと来る戦闘機     河野 けいこ
    十二月八日杖にて起ち上がる     梅原 昭男
    数え日や机の上の紙の銭        原   初美
    倒立の少年ひとり春の家       中村 文園
    十聞いて十を忘るる日向ぼこ     小池 成功
    母に鈴つけたくなりぬ草の花     曽根 治子
    悪童ら入道雲を連れ歩く       永禮 宣子
    萍のたどりつきたる昭和以後     高橋 修宏

この情報に関する問い合わせ先

津山市観光文化部 文化課
  • 直通電話0868-32-2121
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