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第22回 津山(まち)づくりミーティング-林業の魅力と未来に向けて-

第22回 津山(まち)づくりミーティング-林業の魅力と未来に向けて-

1月19日、加茂地区木材組合に所属する事業者のもとで働く若手林業従事者の3人が、従事したきっかけ、林業の魅力や課題、未来につないでいくための取り組みなどについて、津山市役所庁議室で市長と意見交換しました。
ミーティングの様子

 

きっかけは趣味の自転車!?
市長 皆さんが林業に従事したきっかけを教えてください。
参加者A 倉敷市出身で、学生の頃からロードバイクやマウンテンバイクが趣味で、レースにも参加しています。
自然の中で走るのが魅力のマウンテンバイクのコースが県南には少なく、自分でコースを作りたいと思っていました。
コースを作るためにどんなことが必要が調べているうちに、阿波地域に住んでいる知り合いを介して、林業なら仕事をした後に、仕事の内容を生かして自分の趣味の時間を持てることに気付いたのが、従事したきっかけです。
市長 趣味と実益を兼ねられるということですね。
参加者A 自分が手入れした後の山を使って、趣味のマウンテンバイクができる。
これは、さまざまなアウトドアに共通する魅力で、林業を通じて趣味の時間を充実させることができるという点を広めて、林業に従事する人を増やせるのではないかと考えています。
最初は、希望していた阿波地域に移住者が殺到していた時期と重なり、住める場所がなかったため、阿波や加茂地域に近い市外に移住しました。
その後、昨年の秋、阿波地域の空き家を購入し、移住しました。
参加者B 栃木県出身で、高校を卒業する18歳まで過ごしました。
その後、広島県内の大学に進学しましたが、入学後、新型コロナウイルス感染症の流行で2年間、大学生らしいことが何もできずにいました。
そんな中、元々趣味だった自転車のレースでAさんに出会いました。
話をしているうちに、仕事をしながら趣味も充実させることができる働き方やライフスタイルに惹かれ、林業に興味を持ち、思い切って2年で大学を辞め、加茂地域に移住しました。
現在、地域おこし協力隊として活動中で、2年近くになります。
参加者A ヒルクライムに活用しやすいコースや、人や自動車通りが少ない山や峠の坂道などの一般道や、自然の中を走るオフロード系のコースは、郊外に数多くあります。
この地域は、ポテンシャルがあると思います。
昨年、黒木キャンプ場で開催した山フェスにマウンテンバイクの体験ブースを出展しましたが、たくさんの人が来てくれました。
参加者C おじが林業従事者で、子どもの頃から休みの日などは一緒に山に行き、作業を見ていたため、山の仕事がしたいと思っていました。
中学校卒業とともに、林業の道に進みました。
市長 きっかけはそれぞれですが、皆さん、自分の目標や生き方を見つけ、進んでこられたのですね。
自転車が、林業に興味を持つきっかけになったというのも、新しい視点です。
参加者の小野さん 参加者の髙山さん
 
自然の中で感じる充実感
市長 従事して感じる林業の魅力は何でしょうか。
参加者C 手入れされていなかった山の間伐の前後で、山の見た目が変わります。
自分の作業によって良くなったことが、直接感じられる喜びが魅力です。
市長 わたしの実家も土木関係の仕事をしていました。
道路などが完成した瞬間と同じ気持ち良さですね。
参加者B 学生時代から、机に向かうよりも外にいて体を動かすのが好きでした。
家の裏山の現場だったり、国有林に囲まれた緑の中だったり、大自然の中で空や雲、動物など見ながら働けるのが魅力です。
自然の中で仕事をしながら、趣味の時間も充実できる、林業に就けば自分の理想の暮らしに近付けるだろうと思った結果、大正解だったと感じています。
合う人には合うと思います。
参加者A 元々、自然や生物が好きで、地域によって違う植生など、都会では見れないものを肌で感じながら仕事ができるのが魅力です。
山によって違う植物や生物を見るのが好きな人の心に響く仕事だと思います。
市長 生業(なりわい)とならなければ、仕事としては続きません。
農林部やビジネス農林業推進室は、農林業で生計を立てられるよう支援する仕組みを作りたいという思いから作った部署です。
自然を好きな人が林業の世界に入ることができる仕組みは、林業で生計を立てていくためのビジネスモデルの一つとして、今後の参考にしたいです。
参加者の長滝さん
 
課題は安全の確保
市長 林業の課題や大変だと感じていること、必要だと感じることには、どんなことがあるでしょう。
参加者B 事故やケガの話をよく聞くし、みんな、ちょっとしたことはあるはずで、常に危険と隣り合わせです。
そんな中で、危険性を軽減するために、林業機械を活用し、人が作業する項目を減らす取り組みも進んでいます。
一方で、機械の操作を間違えれば、別の重大事故が引き起こります。
新規就業者を呼び込む魅力として、機械化による作業の安全性を安易に前面に出すべきか、悩ましいところでもあります。
同じような作業でも、土木業と比べ、林業は費やすことができる費用も時間も少ないです。
例えば、林道から現場に入っていくまでの作業道について、重機で安全な作業ができるよう、もっと時間をかけて頑丈に作れたら、安全面は向上すると思います。
参加者C 作業の単価が安い一方で、機械は高額です。
作業単価が上がれば、機械の導入など安全な環境を整えることができると思います。
安全を確保するためのさまざまな支援がほしいです。
参加者A 国に、林業の知識や技能向上のための講義などを受けることができる、緑の雇用という制度があります。
制度には要件があって、所属する事業者により利用できない場合もあります。
わたしもそれほど経験年数を積んだわけではないですが、緑の雇用制度で専門的に学ぶ機会があったため、新規就業者の危ないと思う場面に遭遇すると、学んだ内容をもとに教えることができます。
国の制度が利用できない新規就業者にも、知識や技能を向上させる機会が必要だと感じています。
また、山の所有者が山に興味がないのも課題だと感じています。
所有者が死亡し、新しい相続人に引き継がれていない、引き継がれているかどうか分からない山が増えていて、管理するために集約化するのも大変な状況になっています。
苦労して所有者をたどっていくと管理は不要といわれたり、所有者の情報が得られなかったり、各団体の台帳が古いままだったりしているので、さまざまな情報が分かりやすく集約されれば、山の管理もスムーズになっていくと思います。
市長 世の中が感じる山の価値が昔と変わってきていることも一因ですね。
令和6年度から森林環境税の徴収も始まります。
山に関わる人が仕事しやすい環境づくりのための活用方法も考えていきたいと思います。
 
地元産材活用の仕組み
参加者A 外国産の安い木材の流通により引き起こされている、国産の木材価格の低さは、根本的な解決策が必要だと思います。
例えば、地元の木材を地域の建物に活用する仕組みができるだけでも、変わると思います。
市長 木材価格の取り組みについては、国や県にもしっかり働きかけていきます。
公共施設など地域の建物に地元の木材を活用する仕組みづくりは、市の役割の一つです。
地元の木材を使った新築リフォームの補助制度は、多くの利用があります。
参加者A 建物だけでなく、小学校の机など、普段使う消耗品の素材を木材に変え、使ってもらえるようにするのも一つの方策だと思います。
参加者B 京都では、コンビニエンスストアの外観や自動販売機のカバーに木材を使っている例もあります。
木材を活用することで、景観を守ることもできます。
参加者A 城東や城西など城下町の景観が残っているところには、合いそうですね。
市長 例えば用水路の転落防止の柵など町並みに合わせた活用や、日ごろ使う文具などもありますね。
地元の木材を使って地元の企業が取り組むTSUYAMA FURNITUREの取り組みがグッドデザイン賞をもらいました。
木材のデザイン性を生かす取り組みは、職人の育成にもつながります。
ミーティングの様子
 
身近で林業に触れる機会を
市長 皆さんもこれからを担う若手ですが、さらに先を担う若い人たちに伝えたいことなどありますか。
参加者C 林業は活動場所が山の中なので、なかなか見る機会がないと思います。
現場で木を切っている姿を見てもらう機会を増やし、何かを感じてもらえたらうれしいです。
参加者B ここ数年、ベテランの皆さんが引退し、全体の割合で若い人が増えています。
参加者C わたしが従事した16・7年前の加茂地域は、20代・30代の若手が2・3人でしたが、今はかなり増えています。
参加者B わたしのように林業に興味を持ったきっかけが、林業そのものでなかったという話もよく聞きます。
今の流れを逃さず、小・中学生や学生、特に高校生に向けた取り組みがもっとあってほしいです。
新型コロナウイルス感染症の影響で、授業の仕組みが変わったと聞いています。
担い手不足が課題になっている1次産業を支える林家や林業事業体などに受け入れ先を募り、複数人を中長期的にある程度自由に任せるなど、体験カリキュラムの形を思い切って刷新しても面白いと思います。
参加者C 小学5年生で出前授業を行い、6年生で植林体験ができる取り組みを行っています。
林業について、子どもや保護者にもっと知ってもらえる機会を作っていきたいです。
県内で唯一の森林コースがある勝間田高校の存在も、大切にしていきたいです。
高校に比べると、活動時間に制約が少ない大学生などへのアプローチも効果があると思います。
市長 市の援農塾や援林塾にも若い人たちが参加しています。
参加者C 実践的な知識や技術を身に付けることができる林業アカデミーが、鳥取県の日南町などにあり、定員は少ないながらも入学する人が多いです。
参加者B わたしは、林業大学校に行くことも検討しました。
さまざまな選択肢が近場にあると、何かが変わるきっかけになると思います。
参加者C 実際に見たり、体験したりできる場が近くにあれば、わたしたちのように進路に迷った人が、選択肢の一つとして林業の存在に気付く機会が増えると思います。
市長 津山の基幹産業として、農林業は大切な存在です。
安全性の確保、木材の利活用、若い世代の林業体験など、たくさんのヒントをもらいました。
林業の未来に向け、従事者の皆さんを後押しできるよう、一緒に取り組んでいきます。
集合写真

左から 小野秀都さん、髙山優太郎さん、谷口市長、長滝浩司さん

参加者の皆さんからいただいた事後アンケートの声

  • 市長と直接いろいろな話ができたことは良いことだと思いました。

このほかの津山(まち)づくりミーティングの様子はこちらをご覧ください

この情報に関する問い合わせ先

津山市 秘書広報室(広報)
  • 直通電話0868-32-2029
  • ファックス0868-32-2152
  • 〒708-8501岡山県津山市山北520
  • Eメールkouhou@city.tsuyama.lg.jp