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第20回 津山(まち)づくりミーティング-商店街のこれから-

第20回 津山(まち)づくりミーティング-商店街のこれから-

11月22日、ソシオ一番街に出店する若手事業者の4人が、商店街に出店したきっかけや出店して感じるメリット・デメリット、これからの商店街や中心市街地に求められる機能などについて、まちなかサロン再々(堺町)で市長と意見交換しました。
懇談の様子

 

出店の大きなきっかけは補助制度
市長 さまざまな選択肢がある中で、皆さんが商店街に出店したきっかけを教えてください。
参加者A 市の空き店舗補助金の制度がきっかけで飲食店の経営を始め、7年になります。
当時は、若手で空き店舗を利用して営業を続けている人は多くありませんでした。
自分が選んだ今の建物も、1年おきに店が変わっていたので不安はありましたが、この商店街が津山では一番元気で、ここで商売を続けていたら、いつかまた賑やかになるのではないかという思いを寄せていました。
そんな時、補助金の制度を知りましたが、最初は補助金が取れなかったら、海外に行くつもりでした。
商店街の先輩や知り合いが応援してくれ、補助制度が活用できたのは、人生の大きな転機になりました。
当時、支えてくれる先輩がいる一方、同じような悩みを持つ近い年代の人がおらず、店を始めて2、3年はくすぶっている時期が続いていましたが、5年は頑張ろうと思って続けてきました。
そのうち、同じ世代や同じ補助制度を活用して出店する人が増えていき、悩みや希望を共有するなど、一緒にいることで前向きな気持ちになれる仲間ができました。
ソシオ一番街の「ソシオ」は、ラテン語で「仲間」を指すそうです。
7年間続けてきたことで、ソシオ一番街に込められた元々の意味が、自分の中で形になり始めたと実感しています。
参加者B 今年の2月にクラフトビールの店を始めました。
元々、自分が見付けてきた素敵なものを、自分の売り方で売りたいという気持ちがありましたが、なかなか行動に移せずにいました。
結婚を機に県外から移住し、商店街でのイベントを手伝った際、地域の皆さんもお客さんもみんな優しく温かい人ばかりで、このまちでなら商売をしたいと思ったのが大きなきっかけです。
補助制度も、挑戦してみようと思う後押しになりました。
参加者C パーソナルトレーニングスタジオを開業し、3年目になります。
決めたきっかけは、現在の店舗の立地や間取りに加え、津山商工会議所で知った補助金制度でした。
当初は、商店街だけでなく、北園町や沼周辺を含めて物件を探していました。
大切にしたかったのは、店舗の広さや開放感、自分が思い描いているサードプレイス(居場所)的な空間で、グループ指導と1対1指導の両方に対応できる場所を探している中で、今の場所が1番良い物件でした。
参加者D 2019年に1号店のネイルサロンをオープンし、2号店もまもなく2年経ちます。
他の皆さんと同じで補助制度をきっかけに出店しました。
最初は、駐車場が確保しやすいという点で、沼周辺で駐車場付きの物件を探していました。
よく立ち寄る商店街のパン屋さんの帰り道、シャッターに貼られていた空き店舗補助の張り紙に気づき、すぐ行動しました。
商店街に買い物に来ていなかったら、今の自分はなかったと思います。
市長 商店街は大切なまちの資源です。
前向きな気持ちで頑張っている若い年齢の皆さんに、商店街という資源を上手に活用してもらえてありがたいです。
補助制度が、皆さんの挑戦を後押しするきっかけになっていると聞いてうれしいです。

参加者の山本さん 参加者の難波さん
 

商店街ならではのメリット
市長 商店街に出店して感じるメリット(良いところ)とデメリット(足りないところ)は何でしょう。
参加者D メリットしか感じていません。
見つけた物件は、建物が傷み、屋根から雨水が漏れているような建物で、最初、貸す予定はないと断られました。
自分で修繕するなど、条件を協議した結果、格安で借りることができました。
貸主である大家さんと借主のわたし自身の双方が良い関係になることができたと思っています。
また、アルネ・津山の駐車場から津山城に向けて人が通るさくらまつり、商店街独自のイベントや津山まつりなど、イベントがあることで、たくさんの人が店の前を通り、店を見てくれます。
わざわざ広告を出さなくても、人通りのある場所に店があること自体が広告になります。
このメリットは、商店街にしかない魅力だと思います。
駐車場がないことも不安でしたが、始めてみると、アルネ・津山の駐車場から屋根続きの動線があり、心配はなくなりました。
アルネ・津山の駐車場に停めて、店に来た後、アルネ・津山に寄って帰る楽しみがあると話すお客さんもいます。
参加者C 津山にはスポーツクラブなどを含め、フィットネスに関係する施設が約15店舗ほどあり、大手事業者が集中する地域もあるなど、出店場所に悩みました。
フィットネスの継続率の条件の一つに、通いやすい場所があり「商店街にある」ことで安心感を持つ人もいます。
「商店街」という言葉とフィットネスの地産地消という言葉が思い浮かび、その意外性とともに、出店を決めました。
お客さんは、トレーナーとしての能力、接客などすべてのサービスを頼りに、数ある店の中から選んでくれるので、駐車場の有無は大きな問題とは感じませんでした。
立地を活かし、商店街という地域の文化とフィットネスを上手に絡ませて、岡山県北地域での独自性と差別化を目指していきたいと思っています。
参加者B 「地ビール」という名前が認知され出した時代から長く続いている「全国地ビールフェスタ」は衝撃でした。
最初は客として参加し、その後、手伝うようになりました。
イベントに関わることで、店の宣伝ができるだけでなく、市場調査ができ、人との新しい出会いにもつながっています。
店は、クラフトビールの小売りだけでなく、気軽に立ち寄れる立ち飲み形式にしています。
お酒を楽しめる店は、中心市街地に集中しています。
夜、お酒を楽しみに行く前に、自分の店でちょっとした時間を過ごした後、まちに繰り出していく姿を想像して、お店の形式を決めました。
これは、中心市街地でないと成り立ちません。
実際、飲み会の前の「0次会」に利用する人も多く、場所の選択に間違いはありませんでした。
温かいお客さんたちに支えられています。
参加者A 皆さんのいう通り、メリットが多いと思います。
3月から12月まで、ほぼ毎月イベントがあり、人の流れができていて、これは商売を続けられるメリットになっています。
反面、イベントがないと人が歩かないという課題もあります。
現在は、それぞれが意欲的に取り組み、切磋琢磨して頑張っていて、イベントがあることがメリットになっていますが、イベントがなくなったらどうなるかという危機感も抱いています。
商店街に常に人の動きがあり、目的地になっていかなければならないと思っています。
自分の店でいうと、定番メニューに加え、新しいメニューを考えるなど、向上心を常に持って取り組んでいかないと、商店街での商売の存続は厳しいと感じています。
「20年前は良かった」ではなく、今が良くなければ商売は続けられません。
材料費、人件費など、全体的にいろいろなものが高騰しているので、商売を続けるには価格に転嫁したいのが本音ですが、1,000円、5,000円などランチや飲み会の相場価格に昔からの感覚が残るお客さんには高く感じてしまう。正直なところ厳しいのも事実です。

参加者の安達さん 参加者の佐藤さん
 

立地を活かしたくつろぎの空間づくり
市長 商店街を始め、中心市街地に求められる機能には、どんなものがあるでしょう。
参加者B 昼間、気軽に立ち寄れる店ということで、平日でも県外からの観光客の利用が多いです。
地元の人、観光客を含め、昼間、気軽に立ち寄って時間を過ごすカフェなどの場所がなく、人がさまよっている印象です。
昼間に人がくつろげる空間があれば、もっと賑わうと思います。
もみじまつりなどのイベントも、観光客だけでなく、地元の人も知らない人が多いと感じています。
ポスターなど、もっとあちこちに貼られていてもいいのに、もったいないです。
発信力が足りないと思います。
参加者C 旅行に行っても疲れる、日常でもやる気が起きないなど、人は身体が健康で、根本的に体力がないと、お金があっても何もできません。
だからこそ身体作りは、あらゆるマーケット、社会活動の基盤になります。
元気な身体は、津山の観光や文化という資源に、人を呼び込む武器になります。
店の名前の一部「サードプレイス」は「居場所」という意味。
商店街という場所で、まずはさまざまな地域の資源を活かす資本となる体力作りができ、将来的にはカフェなどの飲食も楽しめる「居場所」になることで、岡山県北地域で唯一無二のフィットネス事業を目指していきたいと思っています。
また、この仕組みで、行政の課題である健康寿命の延伸にも貢献し、津山から全国に発信していきたいです。
 
青春の思い出があるまち
参加者D 映画館は、中心市街地に来るきっかけとして重要な要素だと思います。
参加者B わたしも言いたかったです。
参加者A 映画館は子どもと一緒に出かけられる空間の一つです。
参加者D 昼間、商売をしている立場で、お客さんからたくさん聞くのが、映画館、カフェなど人が気軽に立ち寄れる場所が欲しいという声です。
図書館にカフェが併設するだけで人が集まるなど「素敵」に人は集まります。
「素敵」な場所づくりの工夫が必要だと思います。
みんな出掛けたいと思っています。
映画は家で見ることもできますが、映画館で見る楽しさは違います。
参加者A 高校生の頃は、駅前の映画館でデートして、ドキドキしたことを覚えています。
映画館や公園、カフェはデートスポット。青春時代の思い出がないまちは淋しいです。
懇談の様子
 
人がまちに人を呼ぶ
参加者D どうすれば同世代の人がもっと気軽に出店できる環境ができるか、若手の創業者が商店街を選ぶかを考えています。
現状は、付き合いが難しそう、面倒くさそうというイメージがあるようで、出店希望者の大半が商店街以外の場所を選んでいます。
空き店舗を良い条件で借りられるかどうかは、大家さんの考え方にも関わってくるので、大家さんへの上手な支援があってもいいのかもしれません。
商売のしやすさなど、実際に出店してみて感じている商店街の良いところは、いくらでも話すことができます。
これをどう発信していくかが課題です。
参加者A 商店街では、比較的広い物件が空き店舗として残っています。
分割して活用できるような支援があれば、1店舗当たりの家賃も下がり、商売を始める垣根が下がるのではないでしょうか。
参加者全員 賛同
参加者A 商店街のリーダーや先輩に頼るだけでなく、自分たちで何かしなければとコロナ渦中に「呑み呑みの市」を始め、年2回商店街で開催しています。
7月には、グリーンヒルズ津山で行われているオーガニックマルシェと協力して、ソシオ一番街で実施したところ、それぞれのお客さんがいつもと違うイベントを楽しみ合い、商店街にとても良い雰囲気が流れました。
同じように良い雰囲気を感じたのが、津山文化センターでB'zがコンサートを行ったときです。
同じ日に、地ビール祭りと田町や本町でのイベントがあり、コンサートも含め、少しずつ時間がずれていて、この周辺だけで1日を満喫できる雰囲気がありました。
1年のうちにこんな日が何回もあってほしいと思っています。
いろいろなことをやってみたいと思い、呑み呑みの市のメンバーとさらに何店舗かに声を掛け、11月に「つやま和牛を1頭丸ごと食べ尽くせ」をテーマにした、食のイベント「にくフェスin津山城」の開催に協力しました。
まちの中にたくさんいるプレーヤー(さまざまな得意分野や才能を持つ、やる気のある人たち)が活きる方法を考える役割になり、商店街を盛り上げていきたいです。
また、津山で「イベント」と調べたら出てくる情報源があり、そこにイベント企画者自身も投稿できるような仕組みがあれば、もっと情報を拡散できると思います。
市長 たくさんのアイデアをありがとうございます。
人が人を呼び、賑やかさにつながっていく。その仕組みをどう考えていくかが重要ですね。
商店街の元気はまちの元気。皆さんと一緒に考えながら取り組んでいきます。
 
津山市中心市街地空き店舗等対策補助金制度の問い合わせ先
  • 津山市空き店舗対策機構事務局(津山市堺町5 まちなかサロン再々内)
  • 電話番号・ファックス番号 0868-23-2250(火曜日・水曜日は休み)
募集情報は、市ホームページでお知らせします。

 


左から 山本友貴さん(Personal Training 3rdPlace TOMBLACK)、安達晶啓さん(りべるたぁぱんだ)、谷口市長、難波友香さん(Fornail salon&school)、佐藤麻衣子さん(憂晴市場)

参加者の皆さんからいただいた事後アンケートの声

  • 今後、間違いなく中心市街地活性化、商店街において中心となる若手事業者、経営者が、自分たちのビジネスを通じて、どうやって中心市街地活性化の契機、火付け役になるか、市長と若手経営者、行政と各商売の分野における専門家、そしてプロフェッショナルの現状を知れたと考えます。行動が結果を変えますが、その行動のためのそれぞれの方向性、マインドが確認できたことが良かったです。
  • どんなにいい商品、サービス、飲食などを提供できても、まずは認識・認知されなければ始まりません。わたしたちの考えや思いが、津山(まち)づくりにつながるよう、より情報発信をして届けることが重要だと思います。

このほかの津山(まち)づくりミーティングの様子はこちらをご覧ください

この情報に関する問い合わせ先

津山市 秘書広報室(広報)
  • 直通電話0868-32-2029
  • ファックス0868-32-2152
  • 〒708-8501岡山県津山市山北520
  • Eメールkouhou@city.tsuyama.lg.jp