津山市で好きを仕事にしている方にお話をうかがいました。
家具作家
小学生の頃から作ることが好きでした。
寝るまでその事しか考えていないくらいのやる気があれば、誰でも仕事にできると思います。
鉄と木をはじめ、革や布など多くの素材を自由自在に扱うKITAWORKSの木多さん。
美しい木の曲線と強い鉄の直線が印象的な、好きなものを次々に生み出す津山市の家具作家。
思い返してみたら、小学生の頃から作ることが好きでした。大したものは作っていなかったですけど、水鉄砲とかを作った思い出があります。
18歳くらいから少し放浪していた時期があって、長野県の山小屋でアルバイトをしていた時に、これも大したものじゃないですけど、そこの風呂のフタとか休憩するベンチとか、そういったものを作っている時、僕はもの作りが好きなのかなぁと感じました。
その後、父親が経営していた鉄工所で働こうと思ったことが鉄工を始めたきっかけです。この建物とか、一から創ろうと思うと結構大変なので、たまたま鉄工所があったことが大きな要因ですね。
その後、結婚して自分の自宅を建てるという機会があって、その中に入れるものはちゃんとしたものを自分で作りたいなと思ったのが、木工を始めたきっかけです。作ることが好きなので自分で作りたいと思いました。
仕事は鉄工所だから鉄とかステンレスしか扱っていなくて、木がものすごく新鮮に見えたんです。それで、最初は休みの日に実家の倉庫で木だけで家具を作っていたんですが、ある時、妻から金属も使ってみればと言われ、木よりも細くできる強度を活かせるところや、軽やかな部分に着目して鉄も使うようになりました。
好きなことを仕事にまですることは、なかなかできることではないと思いますが…？
器用な人とそうでない人、できるまでに時間がかかる人とそうでない人、色々いると思いますけど、結局は「好き」っていうことだけじゃないかと思うんですよね。もう、そのことしか考えてないというか、休憩中とか寝るまでその事しか考えていないくらいのやる気があれば、誰でも仕事にできると思います。
僕のひとつの大きなターニングポイントは、たまたまKITAWORKSのフライヤーを見て連絡をくれた家具好きの備前焼作家さんとの出会でした。お話をしたら楽しくて、色々と意気投合してすごく刺激を受けて勉強させてもらいました。
形やデザイン、つくりや素材もそうですが、ずっと残るようなもの作りということは、かなり強く思っているつもりです。布地とか傷んだ部分は補修しながら長く使える、100年後でも通用するような本質的な形が作れればいいなぁと思っています。
ショールームには、木多さんがご自身で金継ぎされた魅力的な陶器なども置かれています。KITAWORKSの家具に和のテイストはほぼ感じませんが、しっかりと馴染んでいます。
自分ではよくわからないですが、いいなと思った陶器を買う時、どういうふうにいいなと思ったかというようなところが大切で、そこが根底で家具作りと同じかもしれないですね。
まだまだ、進化しそうですね。
全然満足してないですからね（笑）。でも、どちらかというと進化というより変化という感じですかね。僕の感覚ですけど、ひとつの形にはなっていると思うので。
いつになるかはわからないですけど、ビジネスとしてより、デザインや形が広く残ってほしいという欲求からですが、プロダクト化したいです。自分の作ったものが量産化されていくような姿はやっぱり憧れます。
若い人に何かアドバイスをするとしたら？
すごく世界は広いし色々な人がいるので、視野を広げるための放浪は必要かなと思いますね。ルールはありますけど、基本的には自由なんでね。
津山は好きを仕事にできるまちですか？
そんなに何にもないところではないし、程よく施設もあって人もいるのでバランスはいいと思います。ちょっと絵が習いたいなと思ったら、絵画教室がいくつかあるような程よいまちです。
