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西東三鬼賞 過去の大賞・秀逸作品(第21回から29回)


第21回
 大賞 水馬流るる時間跨ぎけり       万 年 劫
 秀逸 正面の三月十一日の海        曾根 新五郎
    伝承のところどころに曼珠沙華    北川 柊斗
    万物の生ずる前の春の水       片山 淳子
    生き合うてやがて個になる草の花   右手 采遊
    見たか蛇を烏が運ぶを見た動いてた  渡辺 信夫
    ヤスクニは蟬の生まるる場所であり  片山 一行
    地球の子地球の登山口に座す     柴  勇起男
    平面に全て置き換え蟻走る       往 来 
    桃の花三鬼の寺の勝手口       福島 閑雀
    真夜中のポスト勤労感謝の日     竹内 洋平
 
第22回
 大賞 青き川祖国に流れ足の裏       淺井 愼平
 秀逸 逝く友が月を曲がると銀河あり    後藤 宏
    新涼の柩の底の木目かな       曾根 新五郎
    西高東低原発の風下         古梅 敏彦
    嫂のひらひら提げし蛇の衣      松尾 初夏
    出雲路へ牛が越えゆく時雨かな    妹尾 茂喜
    水中のひとりが性を変えにけり    原  知子
    書肆出でて重き鞄や六林男の忌    右手 采遊
    沢蟹を怒らせている男かな      杉原 青二
    大旦十七文字の大宇宙        伊藤 俊昭

第23回
 大賞 虫老いて国歌斉唱していたり     松井 真吾
 秀逸 父ら再度生まれ出で来よ秋の海    菊池 ひろこ
    七十年撃たざる国の晩夏光      山中 正己
    さくら蘂降る降る皇国の落下傘    竹村 甲子雄
    開戦日どこを食べてもオムライス   池田 康
    ペンギンのやうにときどき選挙へ行く 神戸 酔気
    原子炉とバベルの塔ととろろ汁    小林 誠三郎
    鈴虫の鈴を拾ってしまひけり     土居ノ内 寛子(土は土の異体字で右下に点がある)
    葱畑授乳をいそぐ男たち       片岡 義順
    今生の端をかなかな磨きあげ     永野 佐和
    芒ばかり増やして地球淋しがる    永禮 宣子

第24回
 大賞 美少女のひとりが男きんぽうげ    東金 夢明
 秀逸 狼の棲みしむかしの焚火かな     妹尾 武志
    カヌー真つ青激流を乗り切りて    手拝 裕任
    さりながら佛に逢はむいぼむしり    純 太
    鶏頭の真っ赤な風姿花伝かな     近藤 昌平
    妻に火の起源を話す無月かな     西川 火尖
    見えて来るものを見てゐる春の闇   三玉 一郎
    一方に転ありけり葦の国       角田 八東
    羅馬へのあしたへ海胆の千の脚    平松 尚樹
    猪肉に大いなる鈎とほさるる     清水 良郎
    てのひらは小さな空地冬林檎     内山 かおる
 
 
第25回
 大賞 永眠の前の睡眠天の川        廣  波青
 秀逸 翅裏は戦争の色ルリタテハ      内山 かおる
    冬の雷鏡にみぎの眼がひだり     藤本 る衣
    虫売りにまぎれて武器が売られをり  小川 蝸歩
    血族に白系ロシア葱洗ふ       白石 正人
    箱庭に出奔の母連れ戻す       石山 正子
    鼻の穴ふたつ猪吊られけり      清水 良郎
    どこでも行けるのにわれからと遊ぶ  河辺 克美
    泣き声の聞こゆる方へ夏の蝶     高山 由羅
    日の丸が裏まで真っ赤文化の日    えなみ しんさ
    自由と銃絡み合ってる烏瓜      羽村 美和子

第26回
 大賞 冷蔵庫流れたと姥わらへりき     深町 明
 秀逸 一億の稀少のひとり漆搔       妹尾 武志
    一日づつ一葉づつ落つ病母かな    薬師寺 裕二
    平成の出口に蟻の穴ひとつ      武田 悟
    立ち上がるやうに見え来し夜の滝   池田 崇
    間引かれて七夕竹になつてゐる    石山 正子
    二十九も年下に恋柘榴の実      衣 里 堊
    老女にも鬣はあり枇杷の花      相原 光樹
    暑さうな鳩に囲まれ長寿国      大久保 さく子
    わが死後の君を知りたし夏帽子    横井 来季
    神在月島根原発三十キロ       吉竹 純

第27回
 大賞 その白が欲しとつかめば蝶の死ぬ   石橋 徹
 秀逸 降りしきる花の津山を発ちにけり   小川 弘
    退屈な方へ貌出すかいつぶり     山本 則男
    降り注ぐ雨や鶏頭恐ろしき      廣島 佑亮
    立冬のナイフはフォークより孤独   松尾 初夏
    粗方は食へる野の物敗戦日      池田 崇
    みどりの日とや匍匐前進する赤子   畑  毅
    麗かや古稀のリュックにカレーパン  飛 行 船
    蟻逃げるアレクサンドロスは無事か  河内 壮月
    秋の川横顔ばかり流れくる      原  知子
    六法の一は憲法鷹渡る        坂本 茉莉
 
第28回
 大賞 マスクしてしづかな国となりにけり  松田 佳子
 秀逸 天井に扇風機見え三鬼の忌      菊池 ひろこ
    骨だけになって見ている冬景色    米岡 隆文
    鍵穴を失ひし鍵梅雨出水       浅沼 利郎
    仮死の蜘蛛捨てにいく兄の下敷    鳥野 あさぎ
    父の日や甘き匂いの殺虫剤      保田 紺屋
    げぢげぢが筆入れの中憩ひ居り    三宅 陽陽空
    プール熱きのう沈めた巡洋艦      畑 人
    電子の海に言葉は苦しく絡まっている 細ノ木 太
    蟻穴の周り砂積む爆心地       大久保 昇
    股ぐらに風船挟む男児かな      川上 森

第29回
 大賞 転生のたびに手袋落とすなり     荒井 大輔
 秀逸 コスモスのゆれつつゆれを忘れゆく  曽根 新五郎
    三鬼忌の赤い猫なら連れて行く    永禮 宣子
    下駄音の左右で違う父の夏      福島 翠夕
    娘らの腿で分け入る夏野かな     石田 蒼々子
    垂直に鶴は思考を保ちたる      山本 則男
    セーターをほどけば一本の時間    下司 小春
    月光の柩へダイオウイカ逝きぬ    不 非 代
    深海の拾いに行けぬ哺乳瓶      鈴野 蒼爽
    針穴を通つてもどる昼寝覚      大西 孝德
    朝顔を昏きより見る二等兵      龍田 山門

この情報に関する問い合わせ先

津山市観光文化部 文化課
  • 直通電話0868-32-2121
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