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第25回 津山(まち)づくりミーティング-移住者から見た津山-

第25回 津山(まち)づくりミーティング-移住者から見た津山-

5月13日、津山市への移住者5人が、津山を選んだきっかけや魅力、住んでみて感じたことなどについて、参加者の自宅で市長と意見交換しました。
ミーティングの様子


「このまちなら住める」と思った

市長 都市部に住んでいた人が地方に移住するIターン。
地方で生まれ育った人が都市部へ移住した後、出身地でない別の地方に移住するJターン。
地方で生まれ育った人が都市部へ移住した後、出身地に戻るUターン。
皆さんそれぞれ背景は異なりますが、津山に移住したきっかけや理由を教えてください。
ダニエルさん 日本で暮らし始めて、数十年になります。
能登地方や長野県、横浜と、いろいろな地域で暮らしてきました。
横浜に4年間住んだ後、「自然が多い地方に行きたい」と思い、これまでの経験から雪の少ない場所を移住先として探し始めました。
インターネットや、田舎暮らしを紹介する雑誌で、岡山県に興味を持ち、いろいろと物件を探しました。
まず、赤磐市内の物件を見つけ、7カ月くらい住みながら、物件を探し続け、今の津山の家に出会いました。
大きな通りに沿って生活に必要な店があるなど、津山の第一印象は良く「このまちなら住める」と思いました。
山や田んぼ、畑付きで購入した今の家は、とても気に入っています。
元々農家で育ちましたが、これまで経験したことがなかった稲作など、いろいろと挑戦しています。
ロネルさん 田舎が良いと言いながら、生活していくには買い物ができる場所など環境も必要です。
長野での田舎暮らしも良かったですが、必要なものがそろう町までは車で30分と遠かったです。
ここには、田舎暮らしをしながら、車で10分から15分のところに、ホームセンターやスーパー、病院など生活に必要な機能がそろっています。
こんな便利なところに住んだことはありません。
いろいろなものがそろっているのに、田舎の雰囲気も味わえる。そこが津山の魅力です。
日本海まで1時間、瀬戸内海まで1時間30分と、山に住んでいるのに、少し出れば海も楽しめる立地も気に入っています。
市長 「このまちなら住める」と思ってもらえたのはうれしいです。
生活していくには、当然、都市の機能も必要です。
津山は自然に恵まれながら、生活に必要な機能が適度にそろっている。日本海と瀬戸内海の真ん中にあり、神戸や大阪、広島など大都市ともつながっていて、広域的に見ても良い場所です。
わたしは、移住や定住について話す時「津山は適度な田舎暮らしができるところ」と紹介しています。

参加者の様子 参加者の様子
 

和田さん 大阪でのサラリーマン生活を辞め、田舎暮らしをしようと思い立ちました。
理想は半自給自足。移住する前に、大阪で狩猟免許を取りました。
山に囲まれた場所に住みたいと思い、岡山県と島根県を候補に選びましたが、最初は、移住についての情報の探し方が分かりませんでした。
津山市との出会いは、大阪ふるさと暮らし情報センターで行われていた移住相談会への参加です。
岡山県内と島根県内の自治体が行う、さまざまな移住相談会や体験ツアーに参加しながら、1年間悩む中、ツアーに毎回参加するなど、通う回数が1番多かった津山に決めました。
阿波地域に良い物件が見つかり、話を聞いて1時間で決めました。
ツアーでも訪れていた阿波地域は、皆さんがとても親切だったので、縁を感じました。
市長 移住先を探す皆さんが、情報の探し方が分からないというのは、重要な課題です。
情報を必要としている皆さんに、効果的に届けることの大切さを再認識しました。
城間さん 生まれ育った神戸市で、ネイルサロンを経営していました。
夫の転勤で、転居した山口県から津山に来ました。
今は、神戸に置いていたネイルサロンの本店を津山に移し、子育てをしながら仕事しています。
お客さんの年齢層で一番多いのは30代で、子育て中の人がたくさんいます。
施術中はお客さんとゆっくり話す時間があるため、わたし自身の津山の印象を話したり、皆さんが津山について感じていることを聞いたりすることも多いです。
今日の機会についても、興味を持つお客さんから「後で聞かせてほしい」と言われています。
石原さん 津山生まれ、津山育ちで、高校卒業までの18年間を過ごしました。
進学を機に県外に出て、就職。大阪や関東などで23年間過ごし、去年、津山に帰ってきました。
戻ってきたきっかけの一つは、家業を継ぐためでした。
他社にない家づくりの仕組みで皆さんの暮らしを支えるという、創業者の父の思いをつないでいきたいという気持ちが、帰るきっかけになりました。
県外にいる間、いろいろな場所の桜を見てきましたが、やはり津山の桜が一番。離れていても、生まれ育った津山への思いは強くありました。

参加者の様子 参加者の様子
 

市外から来て、見て感じる津山の良いところ
市長 移住して感じた津山の良いところを教えてください。
和田さん 津山城を中心に、中心部にはまちの機能が充実していて、郊外に行くと田舎の景色が広がる。まちの機能がすみ分けされていて、田舎暮らしには理想的な環境です。
市長 津山城という地域のランドマークを中心に、バランスが良いまちになっているということですね。
石原さん さくらまつりや、ごんごまつりなど、四季折々のイベントがたくさんあるのも良いところです。
特に、秋の津山まつりのだんじりは、子ども心にも思い出として深く残っていました。
ロネルさん 食べ物もおいしいです。
ダニエルさん 作っている米もおいしいです。宮部川の水が良いのだと思います。
和田さん 米は、他の産地のものと食べ比べるとよく分かります。津山の米のおいしさは格段に違いました。
寒暖差が大きいのも良いのだと思います。
阿波地域では、先週も朝は気温4度で昼は26度。寒暖差が激しいと、それだけ米や野菜が強くなり、おいしくなるのではないでしょうか。
城間さん 地盤の強さ、災害の少なさも、移住者にとっては大きな魅力です。
世界的にも問題になっている食糧危機などを考えても、おいしい水、安全安心な食料が手に入るのが魅力です。
気候の良さからさまざまな農作物ができ、自給自足も叶います。
市長 地盤は比較的安定していて、地形的に台風などによる災害も少ないといわれています。
ロネルさん しっかりした大通りに沿って、まちができているので、運転しやすいのも良いところです。
ダニエルさん 道路の整備もよくされていると思います。
参加者の様子

 
感じる人の温かさ
市長 周囲の人との付き合いで感じることはありますか。
城間さん いろいろな人に「津山は閉鎖的なので困っていることがあるのでは」と聞かれますが、閉鎖的だと感じたことはありません。
石原さん 通りがかった近所の人が、自転車でこけた子どもに声を掛けて助けてくれたことがあり、人の温かさを感じました。
都会では、周りに気を掛ける人が少ないです。
ロネルさん 横浜に4年間住んでいて、隣近所の人などとあいさつしたことは1回もありませんでした。
ダ二エルさん みんな、えらい冷たい。
(全員笑う)
石原さん 津山ではあいさつをすれば、当たり前のように返ってきます。
小学生もあいさつしてくれる。県外に出たとき、そんな当たり前の光景がないのが、寂しかったです。
市長 学校でもあいさつ運動を頑張っています。
和田さん あいさつは本当に大切。移住してきた時に心掛けたのは、自分からあいさつすることです。
移住を考えている人にもアドバイスしています。
市長 地域の皆さんとの交流は、まちの印象につながります。
移住してきた人、観光客など、まちを訪れた人へのおもてなしの気持ちを、地域の中に作っていくことも大切ですね。
ロネルさんの手作り焼き菓子 焼き菓子の準備をしてくださるロネルさんとダニエルさん
ここで、ロネルさんの手づくりのアメリカの焼き菓子「ピーチコブラ―」を、みんなでおいしくいただきました。
 
和田さん そういえば、食べ物でいうと、津山は食べ物の味付けが濃いと感じています。
ロネルさん 関東に住んでいたわたしたちから見ると(和田さん出身地の)大阪は味付けが薄いと感じています。
(全員笑う)
市長 移住されている皆さんだからこそ分かる、いろいろな地域の違い、面白さですね。
 
守るべきもの、変えていくもの
市長 今の津山をもっと良くするために、必要だと感じていることはありますか。
石原さん 自分が高校生だった頃と比べ、まちに活気がないと感じています。
若者人口を増やすには、魅力ある仕事や働く場所など、産業基盤が整っていることが重要です。
わたしの会社は、全国にフランチャイズの加盟店があり、その本社が津山にあります。
全国を相手にする企業として、津山に来る若者の受け皿の役割を担っていきたいと思っています。
市も産業の活性化に力を入れていってほしいです。
和田さん 映画館やアミューズメントパークなど、遊ぶところが少ないと、若者は出ていく。帰ってくる人もいますが、いかに出ていく人を止めることができるかだと思います。
市長 若者の定住は大きな課題です。
都会との違いの一つは、アフターファイブや休日の過ごし方だと感じています。
映画館もその一つで、方向性を探るために、アンケートを行うなど研究しています。
城間さん 子どもを産むことができるのは女性。結婚自体を躊躇する人も多い中、1人が3人産むという国の目標はかなり厳しいです。
施策を決定する場面に積極的に女性を登用し、女性の考えを取り入れたまちづくりも大切だと思います。
年代に応じて、子育てはこのエリア、働ける時はこのエリア、シニアはこのエリアなど、流動的に移り住んでいくことができるまちづくりなど、柔軟な考え方を持ってもいいのかもしれません。
市長 年齢に応じて、エリアを移住していくという発想は面白いと思います。
一足飛びにはなりませんが、女性の登用についても体系的に取り組んでいきます。
城間さん お客さんに聞いていると、近隣の地域の子育て支援が手厚いと話す人がたくさんいます。
ホームページを見ると、津山市も良い施策をたくさんしているのに、住んでいる皆さんに伝わっていない。もっとPRが必要だと思います。
素晴らしい地域なのにもったいないです。
市長 伝わっていないといわれる情報発信は、継続的な課題です。
年代に合わせて、最適な情報を、最適な方法で発信していく方法を研究し続けます。
城間さん 地域が抱える問題を子どもたちレベルで考えることができる活動など、子どもの頃からふるさとに愛着を持ち、ふるさとのために帰ってきたいと思う子どもを育てる取り組みも大切だと思います。
SDGsなど、子どもたちの方が詳しいこともたくさんあります。
寂しいシャッター街も、クラウドファンディングなどを活用し、大阪万博などで訪れる外国人向けに、外国人受けするアニメの一時的なショップを設けるなど、インバウンドを上手に取り込めば、にぎわいが生まれると思います。
市長 インバウンドも重要視していて、台湾に向けた取り組みに力を入れています。
シャッター街の対策としては、中心市街地の空き店舗対策補助制度も活用してもらっています。
城間さん 災害の少ない地域だからこそ、一人暮らしの高齢者を地域の力で協力して支えるなど、災害に強いまちづくりも大切だと思います。
市長 高齢者や障害のある人など、災害が発生した時に、地域全体で避難の支援や安否の確認ができるよう、避難行動要支援者名簿の登録制度があります。
ただ、制度があるだけではだめで、課題に直面した時でも柔軟に対応して乗り越えていくレジリエンスの強いまちづくりに向け、引き続き情報発信、訓練などを行っていきます。
ミーティングの様子
 
ダニエルさん 津山に住んで3年になりますが、移住者にとって、下水道などの生活環境の整備は重要だと思います。
農業仲間をもっと呼んで増やしたいと思っていますが、古くて良い空き家があっても、下水道などの環境が整っていないことが問題になることがあります。
市長 下水道が未整備の地域には、合併処理浄化槽の補助制度もありますが、住環境は大切です。
ダニエルさん 外国人住民も増えていますが、日本語ができない外国人がぽつんと入ってきても、困ることが多いと思います。
日本で暮らすには日本語を覚えることが大切です。
英語を増やす必要はありません。
日本のことを知ろうとしないと地域から分裂してしまいます。
市長 外国人住民に向けた日本語教室だけでなく、普段使っている日本語を分かりやすい表現に言い換える「やさしい日本語」の普及(広報津山令和5年12月号のページにリンクします)も行っています。
ダニエルさん 地域の役員などもしていますが、住んでいるといろいろな課題が見えてきます。
移住者、若者など、いろいろな考え方の人が増えている中で「昔からこうだった」という理由だけで同じことを続けるのでなく、新しいことを取り入れていこうとする考え方も必要だと感じています。
市長 守るべき歴史や伝統を引き継ぐ一方で、新しい考え方を取り入れ、一緒に良いものに変えていくという視点はとても大切です。
移住されてきた皆さんの目線で、さまざまな話を聞くことができました。
今後の施策に生かし、皆さんと一緒に、津山を元気なまちにしていきたいです。


参加者と記念撮影

左から 石原康平さん、城間愛華さん、ハミルトン・ロネルさん、ハミルトン・ダニエルさん、和田崇さん、谷口市長

参加者の皆さんからいただいた事後アンケートの声

  • 津山市も広いので、各地域や年代で問題に感じている内容が違います。その声を市長が直接聞き、自身の考えを話すというのは今回だけの機会だったので、とても学びになりました。日頃、自分の店を利用してくださる皆さんの声を届けることができたこと、自分の思いを直接伝えることができたことなど、良い経験ができました。インバウンド、駅前商店街など類似した問題を抱えている自治体の仲間と個人的に意見交換をしていますが、インバウンドはこれから東京・大阪・京都などの中心都市から津山のような地方の自治体へと流れてくると思います。インバウンドが増えることにより発生する問題に備え、市民とねらいや予想される問題を共有して、ルール作りをしてもよいと思います。津山には、桜や温泉、汽車など、自然体験を含め、外国人の皆さんをターゲットにできるものがあるので、国内外の皆さんに津山に来てもらえることを願って、自分にできることを取り組んでいきます。
  • 津山市について、他の人の意見も聞けて良かったです。
  • 津山市はいろいろな人にアピールしたいことがよく分かりました。津山市に対するいろいろな人の意見と考え、市長の狙いが分かりました。
  • 生活に基づいた津山というまちの感じ方について知る良い機会となりました。また、インバウンドは、どうやったら津山に招致ができるのか、民間目線でも合わせて考えるのも良いのではないかと感じました。県外からの学生は津山市にとって、とても大切な存在だと考えています。学生に向けての取り組みや大学のあり方についても聞いてみたかったです。
  • 会場が参加者の住む古民家だったので、雰囲気で移住のメリットを見せることができる場だったと思います。市長を始め、参加者の皆さんとフレンドリーに話ができ、なごやかに会が進んだこと、さまざまな市政の問題点を真剣に市長に提案できたことが良かったです。地域の買い物事情の改善などについても話したかったです。

このほかの津山(まち)づくりミーティングの様子はこちらをご覧ください

この情報に関する問い合わせ先

津山市 秘書広報室(広報)
  • 直通電話0868-32-2029
  • ファックス0868-32-2152
  • 〒708-8501岡山県津山市山北520
  • Eメールkouhou@city.tsuyama.lg.jp