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津山市土地開発公社の現状と課題Q&A

問1 土地開発公社(以下「公社」という。)は、何のために設立されたのですか? 津山市の組織ではないのですか?

回答
 公社は、公共用地・公用地等の取得・管理・処分等を行うことにより、地域の秩序ある整備と住民福祉の増進に寄与することを目的に、昭和48年に設立されました。当時は地価が高騰していた時期でもあり、本市が計画した道路や公共施設の建設などに必要な土地を迅速に取得する必要がありました。
 公社の設立団体は本市ですが、本市とは別組織です。昭和56年には、周辺4町(旧久米町、旧勝北町、勝央町及び鏡野町)の追加出資を受けて広域公社となっています。なお、公社に対する各市町の出資額は、本市が600万円、鏡野町・勝央町が各50万円の合計700万円です。

 

問2 公社はどのような事業を行っているのですか?

回答
 公社が担う事業には、本市等からの委託に基づいて、学校や道路、公園などの公有地を先行取得する事業や、公社が自ら行う住宅団地、工業団地などの用地取得や造成等を行う事業(独自事業)があります。
 また、公社が行う独自事業の中には、平成3年に事業を着手し、平成10年に分譲を開始した津山産業・流通センターがあります。この津山産業・流通センターは、開発面積が93.2ha、分譲面積(平地)が44.8haにのぼる流通団地で、立地率は約48%(平成24年度末時点)です。

 

問3 公社の借金はどのくらいあるのですか?

回答
 
公社の借入金は、平成23年度決算で総額147億9千万円と、単年度における本市の一般会計予算の3分の1を超える大きな額になっています。
 借入金の内訳は、金融機関から113億9千万円、本市から34億円で、また、公社が支払う金利は年間で約2億46百万円、1日当たりに換算すれば67万円を超える負担になります。
 一方、公社が金融機関から借り入れを行うに当たっては、本市が債務保証 ※1 を行っています。仮に公社の経営が悪化し、公社から金融機関への返済が困難となった場合には、金融機関は債務保証 ※1 をしている本市に対して公社の借入金の返済を求めることになりますので、公社の借入金は、本市の借入金ともいうことができます。
 このように、公社の借入金は、本市の今後の財政運営にも影響を与えるものであり、本市が公社の経営健全化を進めた最大の要因ともいえます。

※1 債務保証とは
 特定の者が金融機関等から融資を受ける場合に、その融資の全部又は一部が返済不能になった場合、地方公共団体が融資を受けた者に代わって当該金融機関に対して返済することを約束する契約です。地方公共団体は「法人に対する政府の財政援助の支援に関する法律」の規定により、会社その他の法人の債務の保証は制限されていますが、土地開発公社については 「公有地の拡大の推進に関する法律」の規定により、例外として保証契約をすることが可能となっています。

 

問4 なぜ、公社の経営が悪化したのですか?

回答
 
公社の事業は、公共用地先行取得事業と津山産業・流通センターの造成・分譲などの独自事業に大別されます。
 公共用地先行取得事業は、本市からの委託により、公社が金融機関からの借入金で公共用地を取得し、事業化の段階で本市が用地を再取得するもので、公社は、本市による再取得の後に、金融機関からの借入金を返済します。
 しかし、綾部地区の廃棄物最終処分場建設予定地や井口地区の都市公園整備予定地などは、本市による再取得が計画どおりに進まず、長期にわたり公社が保有する状態が続き、その間の金利負担の累積も多額となり、金利の支払が公社の経営を圧迫する要因になっていました。
 一方、本市の要請を受けて公社が独自に実施した津山産業・流通センター事業は、平成10年の分譲開始時点までの金利を含めた事業費が約150億円にのぼる大型事業であり、平成3年の事業着手以降、公社の借入残高は増大することとなりました。
 公社においては、分譲地の売却資金をもって、金融機関からの借入金の返済を行う計画でしたが、津山産業・流通センターの分譲は厳しい経済環境の中で円滑に進まず、平成24年度末時点の立地率は約48%に留まっています。
 このような状況から、公社においては、金融機関への借入金の返済を進めることができず、金利負担が増加するとともに、未分譲地の時価評価(下落が続く地価動向を反映させたもの)に伴う差損の発生により債務超過の状態となっています。
 公社の経営悪化は、様々な要因が複雑に絡み合ったものですが、津山産業・流通センターの分譲が計画どおりに進んでいないことが、公社の経営を圧迫する最大の要因であったと言えます。

 

問5 このまま公社の経営が改善されなかった場合、公社の借入金はどのようになりますか?

回答
 
公社の金融機関からの借入金は、全て本市が債務保証をしていますので、公社の経営状況が悪化し、借入金の返済が滞ることになれば、金融機関は、本市に対して借入金や金利の全額を返済するよう求めてくることになります。もしそうなれば、本市が財政再生団体 ※2 に転落する危険が生じます。

※2 財政再生団体とは
 3つの財政指標(実質赤字比率・連結実質赤字比率・実質公債費比率)の1つ以上が国の定めた基準を上回る団体で、起債(地方自治体の借金)が制限されるなど、国の管理下で財政の再建に取り組む団体をいいます。
⇒財政指標については、こちらを参考してください。  平成22年度決算に基づく健全化判断比率及び資金不足比率.pdf [28KB pdfファイル]

 

問6 公社の経営悪化に対し、これまで市と公社はどのような対応をしてきたのですか?

回答
 
本市では、平成18年3月に、平成18年度から22年度までの5年間にわたって借入金の削減や未処分用地の圧縮に取り組む『 土地開発公社の経営の健全化に関する計画書.pdf [194KB pdfファイル]   』を策定し、この計画に基づいて先行取得用地の一部買戻しや低利子貸付、利子補給(一部は国の特別交付税の対象)などの支援に取り組んできました。

①先行取得用地の買戻し
 平成19年度に約7億円で買戻し
 ⇒ 保有土地の簿価総額の縮減

②地域づくり基金の活用による低利子貸付
 平成18年度から20年度まで段階的に総額34億円を低利子で貸付け(平成24年度まで継続)
 ⇒ 毎年の金利負担を削減

③本市による利子補給
 平成18年度から23年度に計12億6千万円を利子補給
 ⇒ 支払利息負担の軽減による借入金の削減

 これらの取り組みにより、公社の借入金は、平成18年3月末時点の約160億円から約12億円を圧縮し、保有土地も減少する結果となっています。

 

問7 公社の経営健全化にあたり、外部委員会等を設置する必要があったのではないでしょうか?

回答
 本市においては、総務省の通知(平成20年6月30日付け「第三セクター等の改革について」)に基づき、平成21年2月に「津山市外郭団体経営検討委員会」を設置し、公社を含めた本市の外郭団体の経営改革について、検討・論議を重ねた経過があります。
 同委員会は、学識経験者、弁護士、公認会計士、不動産関係者等の民間有識者で構成されており、同委員会の調査・検討の結果については、平成22年3月に「外郭団体の経営改革に関する見解」として、取りまとめられています。
 同委員会からは、公社の経営健全化にあたり、津山産業・流通センターにおける一層の企業立地の促進と未処分用地の有効活用が指摘されるとともに、新たに創設された「第三セクター等改革推進債(以下「三セク債」という。)」の活用を前提に、本市による金融支援に踏み込んだ、抜本的解決を図る対策を検討すべきとの指摘を受けています。
 公社の解散に向けた取り組みは、同委員会の見解を受けて動き出したともいえ、この指摘は、本市が平成24年11月に策定した「 津山市土地開発公社解散プラン.pdf [345KB pdfファイル] (以下「解散プラン」という。)」にも反映されています。

 

問8 第三セクター等改革推進債は、どのようなものですか?

回答
 
三セク債は、地方公社や第三セクターなどの抜本的改革を集中的に行うために、国が平成21年に創設した制度で、これまでにも、土地開発公社を含め、第三セクター等の解散・整理に活用されています(平成24年度までの活用事例は104件)。
 三セク債制度は、一定期間内における集中的な改革を国が推進している観点から、発行年度が平成21年度から25年度までの5年間の時限的措置として創設された地方債です。
 三セク債を公社の事業整理に活用するに当たっては、解散又は業務の一部廃止が条件となり、本市としては、公社の解散を基本方針として、作業を進めてきたところです。
 また、三セク債の償還年限は10年以内が基本ですが、必要に応じ10年を超える償還年限を設定することができるとされています。
 本市の場合、公社の債務整理を行うためには、115億円にのぼる三セク債の起債が必要と見込まれますが、多額の起債償還は、本市の財政運営に大きな影響を与えることになります。
 したがって、本市としては、長期的に適正な財政運営を図るため、さらなる行財政改革に取り組むとともに、償還期間を30年として起債申請を行う方針です。三セク債の起債申請にあたっては、市議会の議決が条件となることから、本市では平成25年3月市議会に、三セク債の起債申請の議案を提案し、議決を得ています。
 さらに、三セク債の発行に際しては、総務大臣の同意のもと県知事の許可を得ることが必要になるため、起債申請を行い、理解を得ていく考えです。

 

 

①起債対象経費

 解散又は業務の一部廃止を行う場合に必要となる地方公共団体が債務保証等をしている土地開発公社等の借入金の償還に要する経費(短期貸付金の整理に要する経費を含む)

②起債対象期間

 平成21年度~25年度(一定期間内の集中的な改革を推進)

③発行手続き

 ・議会の議決 ・都道府県知事の許可

④償還年限等

  償還年限は10年以内を基本とするが、必要に応じ10年を超える償還年限を設定することができる。

※支払利息の一部について、特別交付税措置が講じられる。

 

 

問9 三セク債115億円の起債限度額の根拠は何ですか?

回答
 
三セク債の起債限度額115億円は、本市がその元金若しくは利子の支払を保証している公社の借入金の償還に要する経費として見込んでいる額です。
 具体的には、本市の債務保証額113億9千万円に、公社に代わって代位弁済する時点で金融機関への支払が必要となる利子相当額(平成25度上半期分)を加算した額で算定しています。

 

問10 津山産業・流通センターの分譲が進めば、三セク債の起債額が減るのではないですか?

回答
 
三セク債の発行までに、津山産業・流通センターの分譲が進めば起債額の圧縮(財政負担の軽減)につながるため、限られた期間とはなりますが、企業誘致に全力で取り組んでいます。
 また、三セク債の発行後の資産処分による収入は、繰上償還等に充てるよう指摘されていますので、早期償還を図るためにも分譲の促進が重要な課題と認識しています。

 

問11 三セク債の起債は、津山市の財政運営に大きな影響を与えると思いますが、どう対応していくのですか?

回答
 
本市では、新クリーンセンター建設や学校耐震化などの大型事業も進行しており、三セク債の起債が本市の財政運営に大きな影響を与えることは確かです。
 また、国においては、三セク債の起債の許可申請に当たり、実質公債費比率や将来負担比率を抑制するために必要な措置などを明らかにするよう求めており、三セク債の起債を行った他都市でも、遊休用地の売却等による歳入確保策を示すとともに、歳出削減策を示して今後の財政推計を試算しています。
 この問題の解決に向けては、これまで以上の財政健全化、さらなる行財政改革の取り組みが必要と受け止めており、市財政の運営についても十分な精査を行いながら、三セク債の許可権者である県と協議を重ねています。

 

問12 なぜ、津山市が金融機関に代位弁済しないといけないのですか?

回答
 本市は、公社の金融機関からの借入金に対して債務保証をしており、本市は連帯保証を行っている立場にあります。
 そのため、公社の借入金は、本市の債務とも位置付けられることから、解散プランにおいては本市が公社に代わって弁済を行うスキームになっています。
 なお、本市は、代位弁済によって公社に対する求償権を有することになりますが、公社には返済する資金がありませんので、金銭に代えて保有土地による代物弁済を行うスキームとなっています。

 

問13 金融機関には債権放棄を求めないのですか?

回答
 
本市は、公社の金融機関からの借入金に対して債務保証を行っていますが、これは、土地開発公社の業務の公益性を考慮して、公社の金融機関からの資金の確保を容易にし、土地の取得等が円滑に行われることを目的として、財政援助制限法が制限する地方公共団体の債務保証の例外として認められているものです(公有地の拡大の推進に関する法律第25条)。債務保証の一般的な効果としては、主たる債務者が破産してその債務を免責されても、保証債務者は免責されない(破産法第253条第2項)などがあり、本市の場合も、保証人としての法的責任を免れることは容易ではありません。また、仮に金融機関から保証債務の一部が免除されたとしても、それによる信用力の低下がその後の本市の資金調達に支障を来すおそれがあり、その影響は計り知れません。
 さらに、本市は、一方でこれから起債する三セク債を引き受けてもらうために、金融機関に対して多額の起債と償還期間の長期化を依頼する必要があります。
 三セク債の発行は、今後重要なポイントとなりますので、金融機関に対しては、十分な説明を行い、協力を得ていく考えでありますが、これらの視点を考慮すれば、金融機関に債権放棄を求めることは困難と受け止めております。
 なお、三セク債による公社の解散を行った他都市でも、同様のスキームで整理を行っています。

 

問14 津山市からの貸付金34億円とは何ですか?

回答
 
この貸付金は、平成18年3月に策定した『 土地開発公社経営健全化計画.pdf [194KB pdfファイル]   』に基づき「津山市地域づくり基金」から貸し付けたものです。
 地域づくり基金は、平成18年6月に合併特例債を財源として設置した基金で、積立額は34億円です。公社に対しては、当該基金から平成18年度に10億円、19年度に10億円、20年度に14億円を低利で貸し付け、公社からは毎年利息を受け取っています(受取利息の累計は約33百万円)。
 公社では、地域づくり基金から調達した資金を金融機関の借入金の返済に充て、毎年の支払利息が軽減されており、本市の利子補給額の抑制と公社の金融機関からの借入金残高の圧縮につながる結果となっています。
 なお、この貸付金については、解散プランに基づき、平成25年3月に公社から本市に返済されています。

 

問15 公社を解散しても、今後の用地取得などに問題はないのですか?

回答
 
公社は、公有地拡大推進法に基づき設立された法人であり、昭和48年の設立以来、本市等の依頼に応えるべく、都市基盤整備に必要な公共用地の先行取得等を行うなど、大きな役割を果たしてきました。
 しかし、地価の下落や景気の低迷が続く現状においては、公有地拡大推進法が想定した公共用地の先行取得の経済的メリットは薄くなっています。
 また、通常の事業規模であれば、先行取得が必要になったとしても、公共用地取得事業特別会計の活用など、他の手法で本市が直接購入することも可能であることから、公社を存続させる意義が乏しくなっています。
 このような背景から、全国的に公社の解散が相次いでおり、本市としても、三セク債の活用による公社の解散を方針とした次第です。

 

問16 井口用地の買戻し金額はいくらになるのですか?

回答
 
井口地内の公社保有用地は、平成10年から平成12年にかけて、都市公園整備を目的に、本市が公社に先行取得を事業委託した用地(約2.7ha)です。
 本市は、この用地を都市公園用地(約2ha)と、ときわ園移転用地(約0.7ha)として平成25年1月にて再取得しています。
 再取得額は、現在の簿価に事務費等を上乗せした金額となるため、当初の取得額(約13億7千万円)に事務費や累積利息が上乗せされた約16億円となっています。
 なお、新ときわ園と都市公園は、平成26年度中に完成する予定です。

 

問17 綾部用地はどうするのですか?

回答
 
綾部用地は、廃棄物最終処分場及び建設残土センターとして先行取得した用地であり、面積が約14.3ha、当初の取得額は補償費や調査委託費等を含めて約4億6千万円でした。
 綾部用地は、総合ごみ処理センターの建設を巡る一連の経過の中で、借入金に対する金利負担等が上乗せされるとともに、領家地区での新クリーンセンター建設に向けた動きが進み、利用の目的の変更が必要な状況となっています。
 綾部用地は、山林や田などからなる広大な土地で、他の用途で利活用するには、造成や樹木の伐採等の工事に係る経費の負担が必要となり、また、地価の低迷や企業の設備投資の減退、地方自治体を取り巻く厳しい財政環境なども背景にあり、直ちに事業化することは難しい状況です。
 綾部用地は、平成25年1月に、本市の土地開発基金を活用して約7億8千万円で再取得しました。活用策については、民間のノウハウ等の新たな発想も取り入れながら、引き続き検討してまいります。

 

問18 公社の借入金の返済に対して多額の公金を投入するスキームですが、この問題に対する責任をどのように考えるのですか?

回答
 
公社の借入金の大部分(約87.2%)は、津山産業・流通センターに伴うものですが、バブル崩壊後の厳しい経済環境の中で、このような大規模開発を行ったことや、分譲率が約48%に留まっていること、そして、先行取得公有地の再取得が進まなかったことを含め、公社の経営や市財政の運営に大きな影を落としていることを踏まえれば、公社の設立団体である本市として、重く受け止めなければならないと考えています。
 また、公社の借入金に対しては、年間約2億46百万円の金利負担が発生しています。これに対して、毎年、本市が利子補給を行ってきた経過を考慮すれば、公社の問題は過去の問題ではなく、今後も市民に大きな負担を強いるものです。
 そのため、本市が今果たすべき役割は、このような事態に至った経過を重く受け止め、国の時限措置である三セク債を活用して、この長年の懸案に区切りをつけることであると認識し、今回の解散スキームの実施になったものです。

 

問19 公社の問題に対する行政の責任の所在を明らかにすべきではありませんか?

回答
 
平成21年6月に総務省が通知した『 第三セクター等の抜本的改革等に関する指針.pdf [772KB pdfファイル] 』では、三セク債も活用し、存廃を含めた抜本的改革を集中的に行うよう要請するとともに、情報開示の徹底による責任の明確化なども求めています。
 具体的には「事業採択から現状に至った経緯と責任」「当該事業の整理、再生が最善の選択(手法)であると考えられる理由」などを明らかにする必要があるとされています。
 こうした指摘を踏まえ、本市としては、平成24年11月に、公社の解散スキームとなる解散プランを策定し、また、責任に対する考え方については、平成25年2月に「 津山市土地開発公社の解散に係る責任問題についての検証結果報告書.pdf [669KB pdfファイル]  」を取りまとめ、公表しています。

この情報に関する問い合わせ先

津山市 みらいビジョン戦略室