入れ歯の話(3)
入れ歯のはなし (3) 津山市歯科医師会
「今回は部分床義歯についてお話します。
床という字がついていますが、着脱が可能です。前回のブリッジと比べると入れ歯というイメージにぴったりかもしれません。
人工の歯がついた床という部分が、残っている歯牙に クラスプ(鈎)とよばれる金属線で ひっかかっているという構造をしています。クラスプは、レストという歯に咬合力を伝える部分と、歯を留める役割をする部分からできています。部分床義歯は歯が一本なくなった場合から、一本しか残っていない場合まで対応できるバラエティーに富んだ義歯です。
大きな特徴は、欠損部分にかかる力を歯と歯のなくなった歯肉部分(顎提)の両方で負担することです。
かむ力が部分床義歯にかかると、床の部分で顎提に、さらにクラスプのレストで鈎歯(金属線のかかった歯)に伝えられます。その時、鈎歯と柔らかい歯肉の顎提とでは沈み込む量が大きく異なります。そのため、咬合力の鈎歯と顎提への配分が予後を大きく左右します。
欠損部分の両側もしくは前後に歯が残っている場合はその両方の歯が鈎歯として使用できるので おもに歯に力を負担してもらう部分床義歯になります。この場合は比較的沈み込まず安定した義歯になります。一方、残っている歯が数本しかないとか、前方にのみ歯が残っている場合などは 大きく沈み込む顎提の方に咬合力を配分することになります。噛むと沈下し、動きの多い義歯にならざるをえません。沈下量が許容範囲を超えるとその部分が潰瘍を作り、「入れ歯が痛い」という状態を作り出すことになるのです。
硬い歯と柔らかい歯肉を相手にしなければならないところに部分床義歯の特徴があり、難しさがあると言えるかもしれません。
部分床義歯は装着してから調整が必要です。咬合力が伝わると顎提は吸収してゆき入れ歯との間に隙間ができてきます。その場合はその隙間を埋める必要があります。
管理も大切です。着脱するときには、クラスプ部分を持って、正しく着脱してください。そうしないとクラスプが曲がったり、開いたりして役に立たなくなります。口の中に入れて、噛んではめるのはやめましょう。
鈎歯はクラスプがかかっているため、とても汚れやすくなります。清掃は十分に行ってください。部分床義歯は口の外に出して見ながら清掃が出来ます。よく洗いましょう。歯磨き粉は必要ありません。義歯洗浄剤を使われるのもよいでしょう。
夜間は一般にははずして、きれいな水につけて寝たほうがよいとされています。

部分床義歯は「違和感があり、動いてよく噛めない、痛い」と患者さんから言われることが多々あります。噛む力を歯ではなく歯肉に負担してもらっているのであり、そのため調整や管理がさらに大切な入れ歯と思っていただけたら歯科医もうれしいのですが・・・



