入れ歯の話
健康つやま21ミニ講座
入れ歯の話 ~津山市歯科医師会~
高齢化社会を迎え、快適な生活、健康のために、自分の歯で食べるという大切さが見直され8020運動等が提唱されています。しかし不幸にして保存不可能な歯になり、抜いてしまわなければならない人が少なからずいるのが現状です。
そこで数回にわたり歯が欠損した場合に装着する義歯について、専門的な知識も交えてお話してみたいと思います。
まず歯の構造について少しお話しましょう。歯は口の中に出ている歯冠と歯肉と骨に埋まっている歯根に分けられます。そして、その歯根部が歯槽骨という骨に植わっているわけですが、骨と直接接してロックされているわけではありません。歯根と歯槽骨の間には歯根膜と呼ばれる細い繊維状のものが介在して、両者をつなぎとめているのです。食物をかむとこの歯根膜が咬合力を受けることになるのです。
不幸にして歯を抜いてしまった場合、咬合力を受けとめる歯根膜は無くなりその欠損部分で食物をかむことは出来なくなります。前歯が抜けると審美的に大きなダメージを受けますし、発音もおかしくなります。そこで欠損部の咬合力をはじめ、失った歯の多くの機能を回復するために義歯の装着が必要になるのです。
義歯は大きく橋義歯と床義歯の2つに分類されます。橋義歯はブリッジと一般には呼ばれ、欠損部に隣接した両方の歯に固定し口の中に装着しっぱなしの義歯です。一方、床義歯は床が欠損歯槽部に乗っかり、クラスプと呼ばれる金属線で歯にとめてあります。床義歯は口腔内より着脱可能な義歯です。

歯の抜けた患者さんに対して歯科医は、どのように両者を選択するのでしょうか?
それには、咬合力をどこで負担するかが大きな判断基準になります。橋義歯は欠損部分の咬合力を両側の歯にすべて負担させるものなのに対し、床義歯は歯の無い粘膜部分とクラスプをかけた歯の両方で咬合力を負担しようとするものです。
抜けた歯が多数あり、大きく長い欠損には床義歯が選択されます。欠損部分の両側に歯が残っている場合にはブリッジは出来ません。(例外的に遊離端ブリッジもあります。)残っている歯の状態が良好ではなく、欠損部の咬合力をすべて歯で負担するのが無理なら床義歯が適応になります。
このように、咬合力を歯で受ける歯根膜負担と欠損粘膜部分で受ける粘膜負担の両者のバランスを考慮して、ブリッジか床義歯かが決定されるのです。
少し難しい話になりました。私が学生の時(義歯の目的は何か)という試験がありました。なくした歯の機能(咬合力、審美性、発音等)を回復するという回答では不十分でした。最も大切な目的は残存組織の保護です。義歯を装着することにより、残っている歯や粘膜が健康に保たれ保存されることこそ重要なのです。

《今後の予定》 8月号で①橋義歯(ブリッジ)について、11月号で②部分床義歯(部分入れ歯)について、2月号で③全部床義歯(総入れ歯)について、お話ししたいと思います。



