前立腺癌について

~津山市医師会~ 


 

前立腺は男性のみにあり精液を産生するところです。クルミ大の大きさで膀胱の直下にあり、尿道を3cmから5cm取り巻いている状態です。この前立腺内に前立腺癌は発生します。前立腺肥大症から癌に移行することはありませんが、並存することはあります。前立腺癌になりやすい危険因子として遺伝的要因と欧米風の食事があげられます。親兄弟に1人の前立腺癌患者さんがいた場合は罹患率は2倍になり、2人以上いた場合は5~11倍になります。また確定的な証拠はありませんが動物性脂肪を摂取する機会の多い欧米風の食事様式が危険性に関与することが示されています。前立腺癌は男性ホルモンに依存性があるため男性ホルモンは癌の発生には必須です。平均寿命の延長、PSA検査の普及により患者さんは増加しており、2020年には2000年に比べて前立腺癌の死亡率は2.8倍に、肺癌に次いで2番目の罹患率になるとされています。

                       

 前立腺ではPSA(前立腺特異抗原)といわれる物質が産生されており、その血中PSAを測定することにより早期に癌を発見することが可能になりました。一応4.0ng/ml以上を異常値としていますが異常値だからといって癌とは限りません。前立腺肥大症、前立腺炎などでもPSAは上昇するからです。そこで異常値の場合は前立腺生検という前立腺組織を一部採取し、顕微鏡で癌の存在を確かめる検査が必要になります。PSAの値が高くなるほど癌である可能性は高くなります。症状としては排尿障害・血尿などがありますが、症状があって発見される場合はすでに癌が大きくなっており転移、周囲への浸潤をきたしている場合が多くなります。早期発見のためには50歳以上で年1回のPSA検査が勧められます。

                      

 生検で癌と診断されれば治療することとなりますが、主に①手術により前立腺を切除する ②放射線の局所照射 ③薬物投与により男性ホルモンを抑えて癌の発育を抑える等の治療法があります。治療はそれぞれ一長一短がありますが手術、放射線療法は70~75歳以下の転移、浸潤のない方に行います。つまり早期癌で前立腺内に癌が限局した方が対象になります。放射線治療には多種ありますが、最近は小線源療法という小線源を前立腺内に多数埋め込む治療が手術と同等の効果があり、侵襲も少ないことよりよく行われています。薬物治療は70~75歳以上の方か、あるいは転移、浸潤のある方に行われます。侵襲も少なく効果的な治療法ですが、将来治療に抵抗性を示し再び癌が増殖を始めるという欠点があります。

                      

 前立腺癌は比較的ゆっくり増殖するものが多く、治療法も多種あり、それぞれ確立されていますのであわてず自分で納得のゆく治療法を専門医と相談して決めていただければと思います。

 

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